(映画レビュー)明日使えるドヤ知識「アルプススタンドのはしの方」
カラムーチョが上手に食べられません。こんにちは、こやしです。
最新映画の感想回です。映画の話になったときに、その映画についてキラッと輝く知識が披露できたら気持ちいいですよね。もう見た、まだ見てない、見る予定にない、に関わらず、この記事が明日の会話のこやしになれば幸いです。
さて今回8月16日、「アルプススタンドのはしの方」を観賞してきましたのでレビューを載せていきたいと思います。

映画概要はこちら。↓
第63回全国高等学校演劇大会で最優秀賞となる文部科学大臣賞を受賞し、全国の高校で上演され続けている兵庫県立東播磨高校演劇部の名作戯曲を映画化。夏の甲子園1回戦に出場している母校の応援のため、演劇部員の安田と田宮は野球のルールも知らずにスタンドにやって来た。そこに遅れて、元野球部員の藤野がやって来る。訳あって互いに妙に気を遣う安田と田宮。応援スタンドには帰宅部の宮下の姿もあった。成績優秀な宮下は吹奏楽部部長の久住に成績で学年1位の座を明け渡してしまったばかりだった。それぞれが思いを抱えながら、試合は1点を争う展開へと突入していく。2019年に浅草九劇で上演された舞台版にも出演した小野莉奈、⻄本まりん、中村守里のほか、平井亜門、黒木ひかり、目次立樹らが顔をそろえる。監督は数々の劇場映画やビデオ作品を手がける城定秀夫。
https://eiga.com/movie/91453/
はい。きました。こやしの好きな青春ムービーです。ありがとござます。
この映画の大きな特徴としては2つ。これだけ知ってれば他人にドヤできますよ。
①舞台が元になっているお話であること ②故に、主にシーンは一つで構成されていること
高校演劇をご存知でしょうか。もしかしたら通っていた高校に演劇部なるものがあって、文化祭などに発表をご覧になった方もいるかもしれません。
そうです。主に部活動としての演劇が多く、当然その大会もあるよっていうのが大まかな位置付けです。
そして本作品は、元は高校演劇として披露された劇だったのが、好評を博し、大衆向け・商業的にブラッシュアップされた。そして今回、満を辞して映画化した。というものなんですね。
さぁ、カンの良い方ならもうお分かりでしょう。②の特徴「故に、主にシーンは一つで構成されている」とはどういうことでしょう。
先ほどありました通り、元は高校演劇です。演劇とは幕開けから幕引きまで、ステージ上で完結します。よって舞台転換などなく、一つの場面で完結する場合が少なくありません。
本作品でのワンシーンとは「アルプススタンドのはしの方」です。つまり「甲子園の客席の端っこ」という意味ですね。ここでの主人公4人の会話劇となっています。
これ以外のシーンはほぼ映りません。つまりどういうことが言えるか。
他のシーンについては、見ている我々が脳内補完するしかないんです。
- 実際に行われている野球の試合の様子
- ふいに画面外から消えた登場人物の行動
- 同じアルプススタンドで応援している(真ん中で応援している)生徒の様子
- 対戦高校である強豪校のアルプススタンドの様子 など
全て説明されるわけではないから面白い!いろんなことを考えながら見ることで、より登場人物に共感でき、また反感を覚えるようにできているわけですね。
ただ、ワンシーンだからといって、演劇と映画で多くの違いは生まれます。
いわゆる演出の部分ですね。カメラワークや天気・風といった自然条件についてもその要因の一つでしょう。登場人物の心情に合わせた演出が細部にまで施されていました。
というところでドヤれる説明は終わりです。ぜひ、明日から使ってみてくださいね。
さぁここからは、私こやしが映画をみた感想を書き並べていきます。
よかった点
- 登場人物の心理変化が丁寧
たまに(よく?)ある残念な映画の特徴として、登場人物が「何でそんなことするの?笑」っていう奇行に走る。というのがあります。仲直りする動機が薄いとか、未来からきたんですか?っていうくらいうまくいっちゃったりとか。
本作はそうではなく、高校演劇を諦めざるを得なかった人、高校野球を諦めざるを得なかった人、片思いを諦めざるを得なかった人。それぞれのバックグラウンドが真剣であるが故に、そのあとの心情変化にも納得がいくし、心が動いた瞬間では、みていた私も涙を堪えるまで感極まりました。
さらに上で書いたようにその瞬間・シーンでのカメラワークや、風がだんだん強くなっていくという演出も相まって、ガンガン作中にのめり込んでいくような感覚にさせられました。
- 今この瞬間の自分は、どの子の立場にいるだろうか
本作では4人の主人公がいます。その他、助演として熱血教師、才色兼備の吹奏楽部部長、ちょっと感じの悪い吹奏楽部部員ふたり。姿は見せませんが野球部のエースピッチャー、野球部部補欠部員。
ライムスター宇多丸さんの映画評でも述べられていましたが、映画を味わえば味わうほどに、これら登場人物の全ての人に共感するところとなります。
自分自身のこれまでの人生を振り返ると、ある場面では中心・リーダーとなって動き、ある場面では一生懸命応援する立場にまわり、ある場面では批判者として物事を嘲笑し、またある場面では諦めの感情とともに我関せずと端っこの方で傍観者となっていることに気づかされました。
つまり瞬間瞬間で共感する人は変わるということです。人の気持ち・感情というのはゲームのステータスのように「飽きっぽい」とか「神経質」とか一括りにできるものではなく、もっと複雑で、また見事なバランスで構築されているものであるということです。
それを本作では上手に表現されているなぁと感じました。
その証拠に、それぞれ胸に引っ掛かりを持って観戦していた登場人物達が、真剣にプレーする同級生達をみて終わった後、どのような心情変化があったでしょうか。他人の真剣さを目の当たりにした時、人の心は動くよなぁと再認識した映画でした。
わるかった点
- これって甲子園?
単純な話で申し訳ないんですけど、舞台のアルプススタンドがちっとも甲子園に見えんのですよねー。
いや、甲子園の一回戦やったら実際はこんな風なのかもしらんけど。全然イメージとちゃうなぁと。(実はこやし自身は甲子園に言ったことがありません。)
よく甲子園に応援に行っている友人にちょっとリサーチしてみます。
- 試合展開バリはや問題
「終盤にかけての試合の展開とリンクして動く、登場人物たちの心情変化は…!?」っていう脚本とうたい文句やけんしょうがないんはわかるんやけど。
……わかるんやけど!試合ぽんぽん進みすぎやろ!
カキンカキンカキンカキン打ちまくりやがってほんまに!ああなんて面白そうな試合なんでしょうね!
- なんか変だよ藤野君
元野球部員の藤野君。かつてともに汗を流した仲間達が一生懸命プレーする姿にいつしか心は動かされ・・・
って藤野君!ちょっと感情ぐちゃぐちゃになりすぎやない!?
朝はもういかんとこかなーって思っとったよね!?
うんわかる。それはめっちゃわかる。歯食いしばって必死に野球やっじょるあいつら。それから逃げた自分。高校の部活なんてもんは、試合になったら泣いても笑ってもって気持ちがあって悲壮感も薄れるもんや。レギュラーなれんかって悔しいスタンドの応援部員も試合になったら応援はする。
でも藤野君あれやろ?部活やめた人やろ?部活って何が一番辛いかってあれやん。練習やん。それから逃げたんやろ?グラウンドで練習しょうるかつての仲間の横、どんな顔して帰ってたん?
もう、いたたまれんくて吐きそうやったんやないん?
それが何なん?可愛い女子生徒とバッティングの真似事してきゃっきゃうふふって!
ああもう!(ここまで只々、こやしのひがみです。すいませんでした。)
以上!「アルプススタンドのはしの方」の映画レビューでした!またね